イーサネットフレームとは? フォーマットやL2スイッチによる転送機能も解説

イーサネットフレームとは? フォーマットやL2スイッチによる転送機能も解説

イーサネットフレームとはその名の通り、有線接続するための通信規格「イーサネット」でやり取りされる「フレーム」、すなわちデータです。データがイーサネット上でどのように送受信されているのか、送受信のフォーマットやL2スイッチの機能の解説を通してわかりやすく説明します。 

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イーサネットフレームとは?

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先輩、いま暇ですか? 

言い方気を付けてね! 今回も用語の説明かな? 何という用語? 

「イーサネットフレーム」という用語なですが…。 

それ、以前説明したわよ! たしかブロードキャストフレームの時だったかなあ。 

▶ブロードキャストフレームの基礎知識~ネットワーク通信を理解する 

もしかして…忘れている? そんなわけないよね。 

そんなわけないじゃないですか! でも復習のためにも、もう一度教えてください! 

復習ね…まあいいわ。もう一度説明しようか。ネットワーク上で送受信されるデータは細かく分割されているのはわかっているよね。 

それは理解しています! 

分割された1つ分のデータ、つまりデータの単位は「PDU(Protocol Data Unit)」と呼ばれていて、階層ごとに名称が異なるの。TCP/IPならば、アプリケーション層では「メッセージ」、トランスポート層では「セグメント」もしくは「データグラム」、インターネット層では「パケット」もしくは「データグラム」、そしてネットワークインターフェース層では「フレーム」ね。 

それぞれ聞いたことのある名称ですね。 

そして、データそのものを表す「ペイロード」に、制御情報などを含む「ヘッダ」を追加する「カプセル化」の工程を踏むとPDUとして別の階層とやり取りが可能になるわ。 

なるほど。ではイーサネットフレームは、データのやりとりを行う通信規格の「イーサネット」と関係がありますか? 

その通りよ。イーサネットフレームとは、イーサネット上でカプセル化され、通信に使用されるデータの送受信単位のことなの。イーサネットフレームは、別名「MACフレーム」とも呼ばれるわ。データをイーサネットフレームとして分割して送るのは、特定の通信によるイーサネットの占有を防ぎ、通信機器の処理をスムーズにするためよ。 

イーサネットフレームのフォーマット

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イーサネットフレームのフォーマットには「イーサネットⅡ規格(DIX2.0規格)」と「IEEE802.3規格」の2種類があります。IEEE802.3規格はあまり普及していなくて、イーサネットⅡ規格が標準的ね。 

イーサネットⅡのフォーマットについて教えてください。 

「プリアンブル」「宛先/送信元MACアドレス」「タイプ」「イーサネットペイロードほとんどの場合、IPパケットを指す)」「FCS(イーサネットトレーラー)」から構成されているわ。 

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イーサネットフレームのフレーム長は64バイトから1518バイトとされているの。最小値が64バイトである理由は、イーサネットにおける通信制御方式である「CSMA/CD」で衝突を正しく検知するためよ。 

▶CSMA/CAとは? CSMA/CDとの違いや、その仕組みについて解説 

プリアンブル  

 

プリアンブルとは受信側の端末に同期をとるタイミングを与えるため、イーサネットフレームを送る合図を意味する信号です。 

 

プリアンブルでは「10101010」を7つ送り、最後に「10101011」を1つ送ります。ちなみにEEE802.3規格では、最初の7バイトがプリアンブル、最後の1バイトはSFDと呼ばれます。プリアンブルの長さは8バイトですが、受信後に破棄されるため、イーサネットフレームそのもののサイズには含まれません。 

宛先/送信元MACアドレス

 

「MACアドレス」とは、イーサネットネットワークにおける識別番号であり、ネットワーク機器ごとに割り当てられています。イーサネットでデータを送受信する際に、MACアドレスで送信元と受信側の端末を識別するのです。 

 

イーサネットフレームを送出する際は、受信側の端末のMACアドレスを「宛先MACアドレス」に、送信側である自分のMACアドレスを「送信元MACアドレス」にセットします。複数の相手に同じデータを送信する際はマルチキャストアドレスを、同一ネットワーク内のすべての機器に向けてデータを一斉に送信する際はブロードキャストアドレスを宛先MACアドレスに含める場合もあります。 

タイプ

 

OSI参照モデルにおけるネットワーク層(レイヤー3)で何のプロトコルを使用しているかを表す2バイトのIDです。タイプは使用するプロトコルやバージョンによって定められています。 

 

代表的なタイプのコードは以下の通りです。 

0x0800 IPv4
0x0806 ARP
0x86DD IPv6
ox8863 PPPoE Discovery Stage
0x8864 PPPoE Session Stage

 

イーサネットペイロード

 

イーサネットペイロードとは送信したいデータそのもので、ヘッダが付与されていないデータ本体を指します。宛先/送信元MACアドレス、タイプの総称がイーサネットフレームにおけるヘッダ、すなわち「イーサネットヘッダ」です。イーサネットヘッダなどを除いて、イーサネットペイロードのデータ長は46〜1500バイトです。 

FCS

 

FCSとは、イーサネットフレームが壊れていないかを確認するためにある4バイトのコードであり、別名「イーサネットトレーラー」です。 

 

送信側の端末は宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、イーサネットペイロードに対して「チェックサム計算(CRC)」と呼ばれる計算を行い、結果をFCSとしてイーサネットフレームの最後に付加します。受信側の端末が同じ計算を行い、FCSが一致していればイーサネットフレームは壊れていないと判断されるという仕組みです。 

イーサネットフレームを転送するL2スイッチ

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イーサネットフレームを語る上で外せないのが、L2スイッチね。これはイーサネットフレームを転送する役割を果たす、OSI参照モデルにおけるデータリンク層(レイヤーL2)で動作するネットワーク機器。スイッチングハブ、レイヤ2スイッチとも呼ばれているわ。 

さすがにスイッチングハブは知っています。 

良かったここからは、イーサネットフレームに関わるレイヤ2スイッチの代表的な機能である「L2スイッチング」「フラッディング」「VLAN」を見ていくね。 

L2スイッチング 

 

L2スイッチングとは、イーサネットフレームの転送先を切り替える機能です。L2スイッチにおける最も基本的な機能となります。 

 

イーサネットヘッダに含まれる送信元MACアドレスと自分自身のポート番号を「MACアドレステーブル」という表で管理して、転送先を切り替えます。ポート番号は通信に使用するプログラムの識別番号であり、IPアドレスの補助となるアドレスです。 

フラッディング  

 

L2スイッチングにおいて、宛先MACアドレスがMACアドレステーブルに登録されていないイーサネットフレームを「Unknownユニキャストフレーム」と呼びます。 

 

宛先不明のイーサネットフレームを届けるため、同じネットワーク内のすべてのポートにUnknownユニキャストフレームを転送する機能が「フラッディング」です。宛先に該当しない端末は、受信したイーサネットフレームを破棄します。 

 

フラッディングの際にUnknownユニキャストフレームはコピーされるため、イーサネットフレームの構造は一切変わりません。また、本来の宛先は1つの端末であるため、元からネットワーク内のすべての端末を宛先としているブロードキャストとは別物です。 

VLAN  

 

レイヤ2スイッチを複数台接続しても構成するネットワークは1つですが、不要なデータ転送が発生してしまいます。そこで、レイヤ2スイッチで1つのネットワークを複数のネットワークに分割する機能が「VLAN」です。 

 

まず、ポートごとに1つずつVLANを割り当てる「ポートベースVLAN」という機能があります。同じVLANに割り当てられている範囲内でのイーサネットフレームの転送が可能になります。ただしVLANで分割したネットワーク同士の通信は不可能です。VLANが異なるネットワーク間ではルータやレイヤ3スイッチを使って通信しなければなりません。 

 

一方「タグVLAN」という機能もあります。どのVLANのものかを示す「VLANタグ」をイーサネットフレームに付与する機能です。 

 

複数のレイヤ2スイッチで1つのVLANを構成する場合、ポートベースVLANだと一つのポートにつき一つのVLANという原則があるため、VLANの数だけポートとケーブルが必要になります。しかしタグVLANであれば、VLANタグで識別するため、一つのポートで複数のVLANのイーサネットフレームを転送できるのです。 

ネットワークを整え、快適な通信を

ネットワークの規模や使用する機器の数によってネットワーク内が煩雑化してしまうと、イーサネットフレームの送受信の効率に影響を及ぼしてしまいます。不要な転送を抑え、ネットワークを適切に管理するため、L2スイッチを活用したネットワーク整備を行いましょう。 

 

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