ブロードキャストフレームの基礎知識~ネットワーク通信を理解する

ブロードキャストフレームの基礎知識~ネットワーク通信を理解する

ネットワーク通信に用いられるプロトコルについて調べていると、「ブロードキャストフレーム」という言葉をたびたび目にするかもしれません。本記事では、詳しく語られていないブロードキャストフレームの概要や役割を、ネットワーク通信の基本的な知識を交えながら説明します。また、ブロードキャストフレームの通信における用いられ方、スイッチによってブロードキャストフレームを制御する「ブロードキャストストーム」対策もご紹介します。

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ブロードキャストフレームとは

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ポイント

アヤカさん、仕事でブロードキャストフレームという言葉が出てきました。これはどのような意味でしょうか?

端的に言うと、「ブロードキャスト」のために送信する「フレーム」よ。

端的すぎてよくわかりません…。もっと詳しく教えてください。

わかったわ。まずは、ブロードキャストとフレームの2つの概念をそれぞれ説明するね。ブロードキャストは、同じネットワーク内のすべての機器に向けて、同じ信号やデータを同時に送信する通信方法よ。同様の概念として、「ユニキャスト」「マルチキャスト」といったものがあるわ。

「ユニキャスト」も「マルチキャスト」も以前教えてもらいましたね!
▶ユニキャストアドレスとは? 1対1通信の基本となるIPアドレスを解説

そうね。復習すると、ユニキャストは一つの機器にデータを送信する通信で、マルチキャストは複数の相手にデータを送信する通信ね。ブロードキャストは不特定多数に送信するから、ユニキャストやマルチキャストとは少し違うと言えるわ。

ではフレームとは何ですか?

フレームとは、「データリンク層」を流れるデータの最小単位ね。

サラリと仰ってますが、よくわかりません…。

データリンク層は、ケーブルによって物理的に繋がれた機器の間でデータを受け渡す層よ。データの送信先・送信元のアドレスなどの情報が付加されているの。コンピュータや電子機器を有線接続して、データのやりとりを行う通信規格である「イーサネット」が代表的なデータリンク層だから、「イーサネットフレーム」や「MACフレーム」と呼ばれているわ。

新たな言葉がたくさん出てきましたね。メモメモ…。

ちなみに、フレームと同様にデータの最小単位を表す用語として「パケット」があるわね。データの最小単位を表すのがパケットで、その中でもデータリンク層を流れるパケットがフレームと呼ばれているわ。

なるほど、フレームについてはよくわかりました。

まとめると、ブロードキャストフレームとは、同一ネットワーク内のすべての機器に向けてデータを一斉かつ同時に配信する特殊なフレームね。ルーターは受け取ったブロードキャストフレームを別のネットワークに送らないので、ブロードキャストフレームが届く範囲がネットワークの範囲になるわね。これを「ブロードキャストドメイン」と言うの。

ブロードキャストフレームの使用例

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ブロードキャストフレームには、特殊な「MACアドレス」が付加されているわ。

こんな小腹が空く時間帯にマックだなんて…。

そのマックじゃないわよ! MACアドレスというのは、ネットワーク接続機能を搭載している機器が持つ固有の番号よ。0~9、A~Fで表す16進数が採用されているわ。ブロードキャストフレームに付与されている「ブロードキャストアドレス」は「FF-FF-FF-FF-FF-FF」よ。

なんだかファイナルファンタジーがものすごく好きな人みたいですね…。

単なる偶然よ! この特殊なアドレスが付加されたブロードキャストフレームにデータを収めて送信すると、データがネットワーク内のすべての機器に送信されるの。ユウキくんのために、ブロードキャストフレームが送信される通信の例をいくつか紹介するね。

DHCP

「DHCP」とは、ネットワーク機器が通信に必要なIPアドレスなどの情報を自動で取得するためのプロトコルよ。

覚えていてエライ! 情報を割り当てる機能を持つサーバを「DHCPサーバ」、情報を割り当てられる機器を「DHCPクライアント」と呼び、「DHCP DISCOVER」→「DHCP OFFER」→「DHCP REQUEST」→「DHCP ACK」という手順で通信するのだったよね。

たしか、そんな感じの用語がいっぱい出てきていましたね。

ちゃんと覚えなさい! 実は、DHCPクライアントが自身のIPアドレスをDHCPサーバに要求するDHCP DISCOVERと、DHCPサーバに提案されたIPアドレスを使用したいというメッセージを送信するDHCP REQUESTにおいて、ブロードキャストが活用されているわ。

なるほど、そうだったのですね。

そうなの、DHCPサーバとDHCPクライアントの通信は、宛先を「255.255.255.255」とし、送信元を「0.0.0.0」としたIPパケットをブロードキャストフレームで送信しているのよ。

ARP

「ARP」ってわかる?

小室ファミリーにいそうですね。

いないわよ! 「ARP」とは、IPパケットを転送する際に、宛先のIPアドレスとMACアドレスを対応付けて特定するためのプロトコルよ。ARPでは、MACアドレスを調べたいデバイスのIPアドレスを書き込んだ「ARP要求パケット」を発信するのだけれど、通信相手のMACアドレスが判明していないから、宛先が「FF-FF-FF-FF-FF-FF」のブロードキャストフレームに収めて、不特定多数に送信しているの。

ブロードキャストフレームが引き起こすトラブル(ブロードキャストストーム)

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そうだ、「ブロードキャストストーム」って知っているかな?

知らないです。ぜひ教えてください!

ブロードキャストストームというのは、ネットワークダウンの一因となる現象よ。ローカルネットワーク(LAN)の帯域が、ブロードキャストフレームによって埋め尽くされると発生するわ。

原因はどのようなものがあるのですか?

ローカルネットワークのループ構成が原因ね。ブロードキャストフレームがループ構成部分を永遠に回り続けてしまうため、帯域が埋め尽くされてしまうの。

では、どうすれば良いのですか?

ブロードキャストストームが発生してしまった場合は、問題発生前に接続したLANケーブルを抜けば解決できるわ。発生を予防するシステムの構築には、スイッチの「スパニングツリー(STP)」と「ストームコントロール」という機能が有効よ。

また新しい言葉…。

スパニングツリー(STP)は、ネットワークの変化を検知し、ループ構成を遮断して枝分かれするツリー型に構成する機能ね。一方ストームコントロールは、ブロードキャストフレームがスイッチに中継される量を制御できる機能よ。

また勉強になりました。

また、LANケーブルをつなぐと自動で通信を始める「オートMDI/MDI-X」はLANスイッチの便利な機能ですが、自動でループ状に構成してしまう恐れがあるため、ブロードキャストストームの防止の観点では機能のオフがおすすめね。一方で、ケーブルが接続されていないポートを「ポートロック」で塞ぐという物理的な対策もあるのよ。

MDI/MDI-Xって何ですか?

ここではポートの差込口の種類だと思ってもらえれば良いわ。

ポートロックというのは、その名の通りポートを使えないようにすることですね。

そうね。不正利用を防ぐために使われるわ。

ブロードキャストフレームを理解し、管理しよう

ブロードキャストフレームは、DHCPやARPで利用されるブロードキャストにおいて必要な情報を運ぶ役割を果たします。ブロードキャストフレームそのものや、スイッチの機能によるブロードキャストフレームの制御への理解は、ネットワークダウンを防ぐシステムの構築にとって重要です。

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