DHCPの仕組みをわかりやすく解説!通信シーケンスやトラブルについても紹介

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私たちはスマートフォンやPCなど様々なデバイスで、一日に何回でもインターネットに接続できます。その際、特別な設定を行わなくても簡単にインターネット接続できるのはなぜでしょうか? 実は、自動的にインターネット接続ができるのは、「DHCP」という仕組みがあるからです。

DHCPは日々のインターネット利用だけではなく、組織のネットワーク運用において非常に重要な役割を果たします。本記事では、運用管理に役立つ、DHCPの仕組みや重要性、トラブル、導入方法について解説します。

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DHCPとは?

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今日も高速タッチタイピングが決まっているアヤカさん。少しお時間いただいてもよろしいでしょうか?

最初の一言が余計よね。いいわよ、今回は何について聞きたいの?

DHCPって何ですか?

先に言っておくと、サプリの会社じゃないわよ。「DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)」はね、ネットワーク機器が通信に必要な情報を自動で取得するためのプロトコルね。「IPアドレス」「サブネットマスク」「デフォルトゲートウェイ」「DNSサーバ」などの情報を各デバイスに自動で割り当てるの。

IPアドレスは、これまで何度も話に出てきましたね。
▶ユニキャストアドレスとは? 1対1通信の基本となるIPアドレスを解説

実はIPアドレスには「静的IPアドレス」と「動的IPアドレス」があるわ。今まで話してきたのは静的IPアドレスのほうね。静的IPアドレスは特定の端末に割り当てられているから、インターネットを切断して再度接続しても、IPアドレスは同じなの。一方「動的IPアドレス」は、ネットワークに接続するたびに自動で割り当てられるIPアドレスのことよ。一定期間が経過すると更新されるわ。DHCPが割り当てられるのは動的IPアドレスのほうで、動的IPアドレスがデバイスに割り当てられる期間を「リース期間」と言うの。

IPアドレスに静的IPアドレスと動的IPアドレスがあるのは知りませんでした。

DHCPが登場するまではIPアドレスを手動で固定的に設定して、アナログな管理が行われていたの。DHCPがIPアドレスを動的に割り当てられるようになったことで、設定・管理の効率が大幅に向上して、設定ミスによるインターネット障害なども防げるようになったわ。

DHCPは偉大ですね…!

ちなみにIPアドレスはネットワークの情報を表していて、サブネットマスクはどこまでがネットワークについての情報で、どこからがコンピュータについての情報かを示しているわ。デフォルトゲートウェイは、宛先不明のIPアドレスを暫定的に送信できる機器のことね。そして、サーバやPCの住所を表すドメインの名前とIPアドレスを変換するサーバをDNSサーバと呼ぶの。
DNSルートサーバについて解説!インターネットのドメイン名解決のキープレイヤー

サボっているマスク姿の人物が高輪ゲートウェイにいるって覚えれば良いですね!

もう何でもいいわ!

DHCPの構成要素

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ところで、基本的なネットワークの場合、DHCPは「DHCPサーバ」と「DHCPクライアント」で構成されているの。DHCPサーバとDHCPクライアントが違うネットワークの下にある場合は、「DHCPリレーエージェント」が必要になるわ。

またわからない単語がたくさん…。

大丈夫。それぞれの用語について説明していくね。

DHCPサーバ

DHCPサーバは、各デバイス(DHCPクライアント)へ、IPアドレスなどの通信に必要な情報を自動で割り当てる機能を持つサーバよ。基本的には1つのネットワークに1つのDHCPサーバがあり、このサーバに問題が生じるとネットワーク全体が不安定になってしまうの。

まさにネットワーク上のキーマンですね。

DHCPクライアント

DHCPクライアントは、DHCPサーバからIPアドレスなどを割り当てられるデバイスのことよ。スマートフォンやPCだけではなく、ネットワークに接続されているプリンターやスピーカーなどもDHCPクライアントなの。

家のデジタル機器は、ほとんどがDHCPクライアントと言ってもいいですね。

DHCPリレーエージェント

次はDHCPリレーエージェントについてね。DHCPサーバとDHCPクライアントは、基本的には同じネットワーク内にあるのだけれど、違うネットワークにある場合もあるよね。その時には中継役が必要よね。その中継機能を果たすのが、DHCPリレーエージェントよ。

ぼ、ぼくはまだ転職しないですよ…。

そのエージェントじゃないわよ! DHCPリレーエージェントは「ルーター」や外部LANと通信するためのルーティング機能を持つ「L3スイッチ」、「ファイアウォール機器」などのネットワーク機器に機能として備わっているわ。

DHCPの通信シーケンス(DORA)

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DHCPはリース期間を過ぎてDHCPサーバに返された、使用可能なIPアドレスを各デバイスに割り当てているの。割り当ての際に、「DISCOVER」→「OFFER」→「REQUEST」→「ACK」というシーケンス(手順)で通信していて、その頭文字を使って「DORA」と呼んでいるわ。

チートイドラドラ…。

リーチ!…って麻雀の話じゃないわよ!

DHCP DISCOVER

最初は「DHCP DISCOVER」ね。DHCPクライアントは自分のIPアドレスも、DHCPサーバのIPアドレスも知らない状態だから、まずはネットワーク全体に問い合わせてIPアドレスを要求するの。

IPアドレスをディスカバーするということですね。

DHCP OFFER

DHCPクライアントから問い合わせを受け取ったDHCPサーバは、通信可能なネットワークの範囲を指す「IPスコープ」を確認して、利用可能なIPアドレスを選んでDHCPクライアントに提案するの。

「このIPアドレスはどうですか?」と提案してくれるのですね。

DHCP REQUEST

DHCPクライアントは、提案されたIPアドレスを使用したいという申請メッセージをDHCPサーバに送信するの。複数のDHCPサーバが存在する場合は、提案されたIPアドレスが他のデバイスで既に使われていないかも確認するわ。

IPアドレスが被らないようにしてくれるのですね。

DHCP ACK

DHCPサーバがDHCPクライアントに対して、アドレスの割り当て完了メッセージを送信するの。このメッセージの送信をもって、割り当てのプロセスは終了ね。

すごくわかりやすかったです! このシーラカンスってすごいですね!

シーケンスよ!

DHCPのトラブルの要因と対策

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DHCPはネットワークで重要な存在ですね。

そうなの。だからトラブルが起こると被害も大きいわ。でも、DHCPの異変にはなかなか気づきにくい傾向があるの。DHCPが原因の障害はジワジワと時間をかけて広がるから、インターネット障害の原因の特定が遅れてしまうのね。

DHCPのトラブルについて詳しく教えてください!

主なトラブルについて見ていくね。

野良DHCPサーバ

DHCPのトラブルの一例に「野良DHCPサーバ」の妨害があるの。

ああ、あのジャズシンガーの…。

それはノラ・ジョーンズね。これは社員などが個人的に持ち込んだルーターなどにより、管理者が設置していないDHCPサーバが紛れ込むことで、社内ネットワークが混乱してしまうトラブルのことよ。

どうすれば対策できますか?

さっき説明した「DHCP OFFER」のメッセージは先着順だから、野良DHCPサーバよりも反応速度の速いDHCPサーバを立てることで、被害を抑えられるの。あとはDHCPサーバとクライアントの間の通信を監視して、信頼できる端末のみに許可できる「DHCPスヌーピング」という機能も有効よ。

チャーリーブラウンの飼い犬の…。

それはスヌーピー!

サーバの過負荷

DHCPサーバの過負荷もトラブルの要因よ。

ああ、村上春樹の…。

それは「海辺のカフカ」!過負荷というのは、DHCPクライアントの数が増えてDHCPサーバの負荷が高まることよ。DHCPの処理が滞るようになって、通信不良が起こるわ。ルーターやスイッチに搭載されたDHCPサーバだと、その機器の他の機能がDHCPサーバへの負荷になることもあるの。負荷を分散させるために、DHCP機能を搭載したネットワーク機器や、使用しているデバイスの数を見直す必要があるわね。

DHCPを導入するには?

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DHCPの導入方法は1つではないわ。会社のネットワーク規模に合わせた検討が必要ね。

詳しく教えてください!

ネットワークが大規模の場合

まず、ネットワークに接続するデバイスが多い場合ね。この場合はDHCPサーバが過負荷になるわ。このような場合、DHCP専用の機器(アプライアンス)の導入がおすすめよ。専用のアプライアンスを使えば、デバイスが多いネットワークでも迅速で安定したパフォーマンスを期待できるの。

専用機器を使えば良いんですね!

そうね。また、ネットワーク機器とDHCPサーバがそれぞれ独立していて、トラブル発生時に障害を切り分けられれば、ネットワーク全体の機能不全を防げるわ。

ネットワークが小・中規模の場合

次に、中小規模の組織の場合ね。この場合はネットワーク運用にお金をかけられない場合があるわね。その時は、DHCPサーバが搭載されているネットワーク機器を使うのが良いわ。手軽にITへのコストを抑えながらDHCPを導入したい場合は、DHCP機能が備わったルーターやスイッチなどを活用するのも手ね。

僕も安定したパフォーマンスを維持するために、マルチビタミンを取るようにします!

だからサプリの会社の話じゃないって!

DHCPを使いこなそう

DHCPの導入はネットワーク運用の効率を格段に上げる一方、トラブルが起きればネットワーク全体のダウンに繋がりかねません。しかし、仕組みを正しく理解し、自社ネットワークの状況・規模に応じた導入を検討すれば、DHCPによって自社ネットワークの安定性を担保できます。

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