IPoEとは?基本的な定義を分かりやすく解説

IPoEとは?基本的な定義を分かりやすく解説

IPoEは「IP over Ethernet」の略で、Ethernetを利用してインターネットプロトコルを直接送受信するインターネット接続方式です。従来のPPPoEでは快適なインターネット接続ができづらくなっていることから、IPoEに注目が集まってきています。

しかし、具体的にIPoEとはどういうものなのか、PPPoEと比較したメリット・デメリットや設定方法が分からない方も多いかと思います。そこで、本記事ではIPoEの魅力について見ていきます。魅力だけでなく、設定方法や導入する際の注意点にも触れるので、IPoEの導入を検討されている方は必見です。


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IPoEはインターネット接続方式のひとつ

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アヤカさん、仕事でIPoEという言葉が出てきたのですが、このIPoEについて教えてください! 

わかったわ。基本的な用語なので、しっかり解説していくね。IPoEとは「IP over Ethernet(イーサネット)」の略よ。Ethernetは、LANなど有線接続する時の通信規格ね。インターネット接続方式の1つで、Ethernetを利用してインターネットプロトコル(IP)を直接送受信する方式よ。 

なるほど! インターネットの接続方式だったのですね。

そうよ。これまではPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)という接続方式が使われていたの。IPoEはPPPoEと比較して次のような特徴があるわ。 
Ethernet上でIPアドレスを直接扱うため、接続がシンプルでスピーディ 
PPPoEで必要だった複雑な認証プロセスが不要なため、接続時間の短縮が可能 
IPv6と親和性が高いため、次世代のインターネットプロトコル環境に最適 

このような特徴により、PPPoEよりスムーズな通信を実現できているの。 

IPoEが注目されるようになった背景

 

IPoEが注目されるようになった背景には、さまざまな要因があるの。主な理由は、インターネット利用者が増え、求められる通信速度と安定性が向上したからよ。

確かに、今やインターネットは生活に欠かせないですからね。

ほかにも次のような要因が関係しているわ。 

・スマートフォンやタブレットなどデバイスの増加により、ネットワーク全体の帯域幅(送信できるデータの最大容量)の需要が高まり、PPPoEでは対応しきれなくなった 

IPv4のアドレス空間が急速に枯渇してきており、IPv6に合ったIPoEが求められてきた 

・サブスクリプションの高画質ストリーミングサービスが普及し、大容量データの高速転送が求められてきた 

・リアルタイムの反応が求められるオンラインゲームが普及してきた 
 

このような要因により、PPPoEより通信速度と安定性が優れているIPoEが注目されるようになったの。 

IPoEの理解に欠かせないIPv4とIPv6

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IPoEを説明していく前に、IPv4とIPv6について復習しておこうね。 

覚えています! IPv4とIPv6はIPアドレスの形式ですよね。 

ユニキャストアドレスとは? 1対1通信の基本となるIPアドレスを解説

その通り! IPv4は従来のIP、IPv6は後継のIPよね。アドレス空間が以下の表のようになっており、IPv6の方がはるかに拡張性と柔軟性に優れているわ。

 

アドレス形式 

アドレス空間(理論上) 

IPv4 

4つの10進数(8ビットずつ) 
例:192.168.0.1 

約43億個 
(2の32乗) 

IPv6 

8つの16進数(16ビットずつ) 

例:2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334 

約340澗(かん)個 
(2の128乗) 

前にも説明したけれど、「澗(かん)」という表現に馴染みがないかもね。「1澗」は1兆の1兆倍の1兆倍に当たるので、要するに無限に近い数のことね。 

1兆×1兆×1兆というのは、本当に無限ですね…。

そうね。またIPv6は次のような特徴もあり、今後主流となるプロトコルと言われているわ。 
IPsec(インターネットプロトコルセキュリティ)を標準化しているため、データの保護が強化されている 
デバイスがネットワークに接続する際に、自動的にアドレスを取得できる機能が備わっている 
 
このIPv6とIPoEが連携することで、効率的で拡張性のあるネットワーク接続を実現できるの。IPv6も今後普及していくと思われるので、IPv6に適したIPoEの重要性はさらに増していくと予想されているわ。 

IPoEの特徴はなんとなくわかったのですが…、もう少し詳しく教えて頂けますか?

いいわよ! IPoEとPPPoEを比較して見ていくね。

IPoEと従来のPPPoEとの違い

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IPoEと従来のPPPoEでどのような違いがあるのか、4つのポイントで見ていくよ。

仕組みの違い

 

基本的な違いは、「仕組み」ね。PPPoEは、Point-to-Point Protocol」という、デバイス同士が11の通信を行うための規約を利用してインターネットに接続する方式よ。その特徴は次のようなものがあるわ。 

・ユーザー名とパスワードを用いた認証が必要 

・接続の度にプロトコルにオーバーヘッド(負荷)が発生し、データ転送効率が低下 

毎回ユーザー認証が求められるわけですね。 

一方で、IPoEはEthernetを直接利用して接続する方式で、次のような特徴があるわ。 

Ethernet上でIPアドレスを直接扱うため、接続がシンプルでスムーズ 

事前にプロバイダから割り当てられたIPアドレスを使用するため、認証が不要 

オーバーヘッドが少なく、データ転送速度が向上 

このように、仕組みの違いを見るだけでも、IPoEの方が効率的な接続方法なのが分かるよね。 

通信速度・安定性の違い

 

さっき触れた通り、通信速度と安定性に大きな違いがあるの。PPPoEには、通信速度と安定性の観点で次のような問題があるわ。 

・接続時のオーバーヘッド 

・ユーザー認証の手間 

・ピーク時の回線混雑による接続の不安定 

あまり使い勝手はよくないですね…。 

対してIPoEではこれらの問題が解消され、次のようなことができるようになったわ。 

・オーバーヘッドの減少によるデータ転送速度の向上により、大容量データの転送やストリーミングがスムーズに 

・帯域幅を効率的に利用できるため、混雑時も安定した接続を維持でき、オンラインゲームやビデオ会議も遅延が少なく、通信環境も快適に 

使用環境の違い

 

使用環境でも、IPoEとPPPoEでは違いがあるわ。PPPoEは家庭用インターネット接続にも広く使用されているけれど、次のような制約があるの。 

・ユーザー認証が必要なため、接続設定が煩雑になり設定が手間 

PPPoE対応のモデムやルーターが必要で、環境によっては追加の機器が必要 

ちょっと面倒ですよね。

IPoEは商業用ネットワークや大規模なインフラに適していて、PPPoEの制約を解消できるわ。 

・認証が不要なため、設定が簡単で迅速に接続可能 

IPoE対応機器、特にIPv6対応機器が増えているため、今後のインフラ整備に有利 

セキュリティの違い

 

セキュリティの観点でもIPoEとPPPoEに違いがあるの。PPPoEはユーザー認証を行って接続するため、一見セキュリティに問題ないと思うかもしれないね。でも、次のような問題が潜んでいるの。 

・認証情報が盗まれると、不正アクセスのリスクが高まる 

・認証情報の管理が必要なため、セキュリティ対策にコストと時間がかかる 

認証があるからといってセキュリティが万全、というわけではないですからね。 

一方、IPoEはセキュリティにおいて次のようなメリットがあるわ。 

・事前に割り当てられたIPアドレスを使用するから、認証プロセスを簡素化できる 

IPv6の標準機能としてIPSecが組み込まれているため、データの暗号化と認証が強化されている 

いろな観点から、IPoEが優れていることがわかりました。

良かった! 次にIPoEのメリットについて、より具体的に見ていこうね。 

IPoEを使用する3つのメリット

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今度は、IPoEを使用する3つのメリッについて、具体例を交えて解説していくね。

通信速度が向上する

 

IPoEを使用する最大のメリットは、通信速度の向上よ。IPoEはオーバーヘッドが少な、PPPoEより高速なデータ転送ができるの。これは特に次に挙げるような場面に役立つわ。 

・オンラインゲーム:PPPoEではピーク時間帯などに遅延が発生して、ゲームプレイに支障をきたす可能性がある。IPoEでは遅延が減少し、スムーズにゲームができる 

・動画のストリーミング:高画質なストリーミング(例:動画配信サービスの4K動画)には高速通信が不可欠だが、IPoEでは途中で映像が途切れず快適に視聴できる 

・大容量データのダウンロード:例えばOSの最新バージョンをアップロードする際、PPPoEでは数時間かかる場合でも、IPoEでは短時間で完了できる 

このように、高速なデータ転送が必要な場合に、IPoEは非常に力を発揮してくれるの。 

接続が安定する

 

IPoEのもう一つの大きなメリットは、接続の安定性ね。従来のPPPoEでは、特にピーク時において接続が不安定になることがあったの。でも、IPoEはピーク時でも安定した接続ができるから、次のようなシーンで役立つわ。 

・リモートワーク:PPPoEではピーク時に接続が不安定になる場合があるが、IPoEでは安定した接続によりビデオ会議のストレスが軽減される 

・クラウドサービスの利用:特にGoogle Driveなどのクラウドストレージを使用する時に、安定した接続によりスムーズなデータのアップロードとダウンロードができる 

IoTデバイスの接続:複数のデバイスを同時に接続すると不安定になりがちだが、IPoEでは複数デバイスを接続してもすべてのデバイスから安定して接続できる 

これらのメリットは、個人ユーザーだけでなく、企業や組織にとっても非常に利点と言えるわね。 

セキュリティが強化する

 

セキュリティが強化できるのも、IPoEのメリットの1つね。IPoEではIPv6の機能を活用できるため、セキュリティ面で次のようなメリットがあるわ。 

IPsecの標準化:インターネットプロトコルセキュリティが標準化されているため、機密情報を含むメールの送受信などでデータの盗聴や改ざんから保護される 

・認証プロセスの簡素化:IPoEはPPPoEのような複雑な認証プロセスが不要なため、認証情報の漏洩リスクが軽減される 

・ファイアウォール機能の向上:多くのIPoE対応機器は最新のファイアウォール機能を備えており、ネットワーク全体のセキュリティが強化される 

セキュリティ強化の面においても、個人ユーザーだけでなく企業や組織から選ばれる理由となっているのがわかるわね。でも、IPoEはメリットだけでは無いの。 

IPoEにもデメリットがあるのですね。 

そう。次でIPoEのデメリットを説明するね。

IPoEを使用する2つのデメリット

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IPoEのデメリットは次の通りよ。 

導入コストがかかる

 

すでにPPPoEで接続している場合、IPoEを使用するには現状の機器のまま接続はできないの。そのため、IPoEに対応している機器の導入コストがかかるわ。具体的な導入コストとしてかかるのは次の3つよ。 

IPoEに対応しているルーターやモデムの購入費用(PPPoE対応機器よりも高価な場合が多い) 

IPoE接続には専門知識が必要で、設定やインストールのためにサポート費用がかかる場合がある 

・一部のプロバイダではIPoE接続をするために追加料金がかかる場合がある 

 
要するに、IPoEを使用するには導入コストと運用コストをしっかり考慮する必要があるわね。 

対応機器が限られる

 

IPoEを使用するには、対応機器の導入が不可欠なの。でも、IPoE対応機器はまだ選択肢が限られているわ。そのため、次のようなデメリットがあるのよ。 

・市場に出回っているモデムやルーターはPPPoE対応機器が主流なため、IPoE対応のモデムやルーターを見つけるのに手間がかかる場合がある 

・既存のネットワーク環境やほかのデバイスとの互換性においても、IPoE対応機器がすべてに対応するとは限らないため、導入前にしっかり確認する必要がある 

IPoE対応機器は最新のファームウェアやソフトウェアをアップデートする必要があり、定期的にメンテナンス作業が発生する可能性がある 

 
このように、物理的な問題によりIPoEの導入の妨げとなるケースがあるの。特に企業や組織で大規模なネットワークインフラの入れ替えが必要な場合はコストも膨大になってくるから、計画をしっかり立てて導入しないといけないわね。 

IPoEの設定・接続方法

IPoEのメリット・デメリットについて理解できました。

良かったわ。ここからは、IPoEで接続する設定方法について見ていこうね。具体的には、次のステップで設定を行っていくの。 

1.対応ルーターの用意 

2.IPoEの設定 

3.接続確認 

まず、対応ルーターの用意ね。次の点を確認してから購入するのが良いわ。 

IPoEに対応していること 

IPv6に対応していること 

まずは機器がIPoEに対応していないといけないですよね。 

そう。そしてIPoEの設定については、次のような手順で設定を進めるの。 

1.ルーターの接続:光回線やケーブルモデムに接続する場合は、適切なケーブルを使用した上でIPoE対応ルーターをインターネット回線に接続 

2.ルーターの設定画面にアクセス:PCやスマートフォンでルーターの設定画面(通常はIPアドレス/例:192.168.1.1)を入力 

3.設定画面でIPoEを有効化:設定画面でIPoEの設定項目を探して有効化 

4.接続情報の入力:プロバイダから提供された接続情報を入力 

5.設定の保存と再起動:設定を保存してルーターを再起動 

 
このような手順を踏めば、IPoEの設定が完了するわ。終わったらインターネットへの接続を確認してね。接続確認で問題ないことを確認し、インターネット回線速度測定サイトで速度を確認すると確実よ。 

順を追っていけば、簡単にIPoEを導入できそうですね。 

ただ、IPoEを使用する際には注意点があるの。 

IPoEを使用する際の注意点

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IPoEを使用する時は、次の3つのポイントに注意ね。これまで解説してきた部分と重複する部分もあるけれど、重要だからもう一度説明していくね。 

対応機器を確認する

 

まず、IPoE対応機器であるかどうかの確認は不可欠ね。次のポイントを押さえた上で、IPoE対応機器かを確認するようにしてね。 

「IPoE対応」と明記されている機器を選定する 

・最新のファームウェアにアップデートする 

・既存のネットワーク環境やほかのデバイスとの互換性を確認する 

これらの確認を怠ってしまうと、IPoEの利点がまったく発揮されない可能性もあるわ。スムーズに接続するためにも、これらをしっかり確認してね。 

プロバイダの対応状況を確認する

 

プロバイダ側がIPoEに対応しているかどうかを確認するのも重要ね。IPoE対応機器を用意しても、プロバイダがIPoEに対応していない、IPoEで接続できないの。次のポイントに留意して確認するようにしてね。 

・利用しているプロバイダのホームページやサポートセンターへ連絡し、プロバイダの対応状況を確認する(対応していない場合は、IPoEに対応している別のプロバイダへ変更するなど対処) 

IPoEに対応している適切なプランを選択(変更)する 

・設定に不安がある場合は、プロバイダの技術サポートを使ってIPoEの設定を行う 

対応機器を確認するももちろんですが、プロバイダの対応状況も大事なのですね。 

セキュリティ設定を講じる

 

IPoEを利用する時は、セキュリティ対策も重要よ。IPoEはIPv6を使用できるため、IPsecを活用してセキュリティ設定を行うのがおすすめよ。具体的には次の設定を行うと良いわ。 

・ルーターの設定画面でIPsecを有効化 

IPoE対応ルーターに通常搭載されているファイアウォール設定を有効化 

・ルーターのファームウェアやセキュリティ設定を定期的に確認、最新の状態を保持 

これらの対策を行えば、安心してIPoEを使用できるの。特に個人情報や機密データを扱う場合には、セキュリティ設定を徹底するのが重要よ。 

IPoE接続のメリット・デメリットの理解を

今回は、IPoEとは?という観点で、従来のPPPoEとの違いからメリット・デメリットを解説し、設定方法についても見ていきました。IPoEを使用すれば、ストレスなく安定的で高速な接続環境が可能ですが、その分デメリットもあることがわかって頂けたのではないかと思います。 
 
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通信回線の変更を検討する際、様々な通信速度のプランがあるため頭を悩ましていないでしょうか?1G、5Gなどプロバイダによって異なりますが、よくよく見ると「最大」「理論値」という言葉がついています。なぜそのような表記をしているのでしょうか。それはその回線が「ベストエフォート型」だからです。 

本記事ではベストエフォート型の回線の基礎知識について、ギャランティ型との違いやより有効に使うための対策とともに解説します。 

 

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ベストエフォート型とは 

ユウキ
アヤカさん、最近通信回線の変更を検討しているんですが、プランによって通信速度が異なるので迷っています。特に「最大」「理論値」という言葉がよく見られるんですが、これはどういう意味なのでしょうか?

アヤカ
それは「ベストエフォート型」という回線の特性を示しているわ。ベストエフォート型は「最善の努力」という意味で、通信速度の保証がないサービスを指すの。一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)はこういった記載をしてるわ。

本来高価な専用線を多数の人の共用を前提として提供することで、保証はしないものの実用的な速度とのバランスを考慮しながら安価な価格で提供するのがベストエフォート回線のサービスです。

インターネットの現状と品質の測定につきまして

ユウキ
通信速度の保証がないってどういうことですか? 

アヤカ
例えば、インターネット回線の広告で「1ギガ(Gbps)」や「10ギガ(Gbps)」という表示があるでしょう。これは技術規格上の最大速度を示していて、実際の通信速度は多くの要因によって変動することがあるのよ。

ユウキ
なるほど、それってどんな要因があるんですか? 

アヤカ
主な要因は以下の通りよ。

要因 

説明 

リソースの限界 

ルーターやスイッチなどのネットワーク機器は、一定のリソース(メモリ、帯域幅など)を持っています。これらのリソースが飽和すると、新しいデータパケットを処理できず、破棄することがあります。 

エラーの発生 

ネットワーク上での物理的な障害や機器の故障・外部からの攻撃などの要因によりエラーが発生する場合があり、データの伝送が中断されることがあります。 

再送の制限 

データパケットが失われた場合、再送を行うことで伝送を試みることが可能です。しかしベストエフォート型の通信では、再送の回数や時間に制限があるため、ある程度以上の再送を行わないことが一般的です。 

プロトコルの特性 

ベストエフォート型の通信でよく使用されるTCP/IPプロトコルは、データの伝送を保証する機能を持っていますが、それでも一定の条件下ではデータの伝送を保証できない場合があります。 

ユウキ
なるほど~。それに対して通信速度が保証されるようなサービスはあるんですか? 

アヤカ
それがギャランティ型よ。ギャランティ型は通信速度や通信品質に一定の保証を持つサービスなの。契約した通信速度や品質を保証するから、安定した通信が期待できるわ。ただベストエフォート型に比べて料金が高いの。専用回線の設置や運用が必要だから、初期費用やランニングコストがかかるのよ。

ギャランティ型インターネット回線の選び方とその必要性

 

ベストエフォート型の採用が多い理由 

 ユウキ
それならなぜ多くの通信サービスはベストエフォート型が提供されているんですか? 

アヤカ
それは利用料金の低さが大きな理由よ。ギャランティ型は専用回線の設置や運用が必要だからコストが高くなるの。一方、ベストエフォート型は多くの人が共用することを前提としているから安価に提供できるの。小規模な企業やスタートアップでは、ベストエフォート型の利用が一般的よ。高い通信品質や帯域幅が必要とされない場合、ベストエフォート型の回線で十分。でも、金融機関や医療機関のように高い通信の安全性や信頼性が求められる業種では、ギャランティ型などの専用回線や高品質な通信サービスが選択されることが多いわ。

 

ベストエフォート型回線を快適に利用するためには? 

ユウキ
アヤカさん、ベストエフォート型の通信速度をより快適にする方法はないですか?

IPoE方式の採用

アヤカ
まず、IPoE方式の採用を考えることができるわ。IPoE方式はイーサネット(LANケーブルなど)上でIPパケットを転送する技術よ。従来のPPPoE方式方式だと、通信量が増加すると終端装置が混雑して通信速度が遅くなる可能性があったの。IPoE方式だと終端装置を使用せずに直接インターネットへ接続するから混雑が起こりにくくなるわ。IPv6の普及に伴って、多くのプロバイダがこの方式を採用しているのよ。 

ユウキ
IPv6って何ですか?

アヤカ
IPv6は、インターネットの通信を制御するための新しいプロトコルよ。IPv4と比べて、セキュリティ機能が高度で、通信の効率も向上しているの。 

周辺機器の見直し

ユウキ
なるほど。他にもありますか?

アヤカ
通信速度に影響を与える要因として、使用しているネットワーク機器の性能も考慮する必要があるわ。たとえば古いルーターやスイッチを使用していると、データの処理速度が遅くなることがあるの。特に無線LANルーターは、規格によって最大通信速度が異なるから、それに合わせて選ぶことが大切よ。 

無線LAN規格 

最大通信速度 

周波数帯 

IEEE 802.11ax (Wi-Fi6) 

9.6Gbps 

2.4GHz/5GHz 

IEEE 802.11ac (Wi-Fi5) 

6.9Gbps 

5GHz 

IEEE 802.11n (Wi-Fi4) 

600Mbps 

2.4GHz/5GHz 

IEEE 802.11g 

54Mbps 

2.4GHz 

IEEE 802.11b 

11Mbps 

2.4GHz 

IEEE 802.11a 

54Mbps 

5GHz 

ユウキ
通信速度が最大1Gbpsの回線を使っても無線LANの規格がWi-Fi4だと、600Mbps以上の速度は出ないってことですよね? 

アヤカ
その通りよ。1Gbpsの回線をフルに活用するためには、Wi-Fi5やWi-Fi6みたいな新しい規格のルーターが必要になるわ。

ユウキ
なるほど~。それとLANケーブルも気をつけたほうが良いんですか…?

アヤカ
LANケーブルは「カテゴリ」という規格で分類されていて、それぞれのカテゴリによって最大通信速度が異なるのよ。

ケーブルのカテゴリ 

最大通信速度 

CAT8 

40Gbps 

CAT7A 

10Gbps 

CAT7 

10Gbps 

CAT6A 

10Gbps 

CAT6 

1Gbps 

CAT5e 

1Gbps 

CAT5 

100Mbps 

ユウキ
こんなにも違うんですね!じゃあ、快適な通信速度を求めるなら、どのカテゴリのケーブルを使ったらいいですか?

アヤカ
小規模なオフィスでの利用を考えるなら、CAT5e以上のケーブルを選ぶと良いわ。 

 

まずは通信速度を計測してみる 

多くの通信回線はベストエフォート型のため、いかに快適に利用するかが重要です。まずは実際に通信速度を計測してみましょう。あきらかに速度が遅い場合、対策を取る必要があります。無線LANルーターやスイッチの性能が古い場合は変更を検討しましょう。 

通信環境についてお悩みの場合は、ぜひお問い合わせください。御社のお悩みを解消いたします。 

 

 

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