低レイテンシー(レイテンシ)とは? その意味と重要性、実現方法を解説

低レイテンシー(レイテンシ)とは? その意味と重要性、実現方法を解説

ネットワークの速度は、一般的にレイテンシー(レイテンシ)という言葉が用いられます。レイテンシーは、高い・低いで表され、ネットワークの指標の1つとして使われています。本記事では、レイテンシーが高くなる影響やその原因、低レイテンシーを実現するための方法について説明します。

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低レイテンシーとは

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さっき上司から「君の資料調査のレイテンシーが高い」と言われました。これって笑っていいネタですか?

どちらかというと呆れられているわね。レイテンシーというのは、データ転送における指標の1つで、転送要求を出してから実際にデータが送られてくるまでに起こる通信の遅延時間よ。レイテンシーが高いということは、長く遅延しているって意味ね。

そんな…。

まあまあ。いずれ資料調査のレイテンシーも低くなるわよ。ちょうどいいから説明すると、低レイテンシーは「通信の遅延時間が短い」ことね。インターネットにおいては、低レイテンシーのほうが都合は良いわ。ユウキ君はオンラインゲームとかする?

します! 休みの日はFPS(一人称視点のゲームで、シューティングゲームなどが有名)三昧です!

もしゲーム中に高レイテンシーになってプレイ中に何度も遅延していたらどう思う?

イライラします。最悪ゲームを止めてしまうかも…。

そうよね。高レイテンシーはユーザーの不満につながりやすいのよ。最悪の場合は離脱者を増やし、ゲーム会社の収益を減少させるなど重大な問題となってしまうわ。

レイテンシーが高いとどうなるのか

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低レイテンシーについてはよくわかりました。高レイテンシーについてもう少し教えてください。

高レイテンシーだと、まずはWebサイトのロード時間が長くなるわね。例えばクラウドサービスの場合、表示の遅延が考えられるわ。利用者はそのサービスに対して不満を持つようになって、サービス自体のイメージが悪くなるわね。

確かに、ネットが重いとそのサイトの見方が変わりますね。

また会社内のネットワークが高レイテンシーだと、データへのアクセスやアプリケーションの使用中にも遅延が起こるの。当然、仕事のタスクが完了するまでに時間が掛かってしまうから、従業員の生産性も下がってしまうよね。

うちで使っているクラウドサービスも、遅延すると仕事にならなくなりますよね。

Webサイト、特にECサイトの遅延は、顧客との結びつきの度合いを表す「エンゲージメント」を下げるわね。その結果として、サイトの収益が下がってしまうの。ECサイト「アマゾン」の実験によれば、「ページの表示が0.1秒遅れるごとに売上が1%減少する」ことがわかっているわ。レイテンシーの高さは、企業収益にダイレクトに影響を与えるのよ。

高レイテンシーになる原因

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高レイテンシーであることは、様々な面で悪影響を及ぼすことがわかりました。では、高レイテンシーになる原因を教えてください。

いいわよ。1つ1つ見ていくね。

1.伝送媒体の種類

まずは「伝送媒体」の影響があるわね。伝送媒体というのは、光ファイバーやWi-Fi、その他のケーブルよ。これらはデータを送信する速度が異なるから、情報の配信測にも影響を与える可能性があるわ。例えばケーブルが銅線の場合は、構造や素材にもよるけれど、光ファイバーよりも遅延が大きくなってしまうの。

機器や素材によって遅延の起こりやすさも変わるのですね。

2.パケットサイズ

パケットサイズも高レイテンシーに影響を及ぼすわね。パケットについては大丈夫?

はい! データを分割した1つのかたまりのようなものですよね。

その通り。パケットは、小さいものよりも大きいものの方が往復に時間が掛かるの。荷物を想像するとわかりやすいのだけれど、大きい荷物ほど運ぶのに時間がかかるわよね。だからパケットサイズもレイテンシーに影響を与えるわ。

3.伝搬遅延

物理的な距離も影響があるわね。「伝搬遅延」といって、ケーブルで結ばれたある地点からある地点にパケットを送った時に掛かる、物理的な時間も高レイテンシーになりやすいわ。たとえ100Mbpsや1Gbpsといった高速回線を会社内で契約したとしても、日本から遠く離れた地域(例えばアメリカなど)と通信を行う場合には、遅延が発生してしまうの。

やはり遠く離れたところにパケットを送るには、それなりの時間がかかるわけですね。

4.パケット損失とジッター(ジッタ)

遅延は、送信先に到達できないパケットの割合が大きいときにも起こるわ。パケットの一部または全てが正常に届かずに消滅してしまうことを「パケット損失」と言うの。パケットが正常に届かないということは、その分再送信するということだから、通信は遅れるわね。

パケットを正しく届けるため、時間が掛かってしまうということですね。

そうね。また一部のパケットの転送に掛かる時間が一定にならない時も遅延が発生するわ。その状態を「ジッター(ジッタ)」と呼ぶのよ。

ジッターについては、以前お話いただきましたね。とてもわかりやすかったです!
ジッター(ジッタ)とは? その原因と解決策について解説

これを機に復習しておこうね。

5.ルーター

ルーターにも原因がある場合があるわ。ルーターのスペックが低い場合、遅延の原因になる可能性があるの。またルーターを複数台つないでいる場合も、パケットがルーターを経由するたびに遅延していくのよ。

ルーターも定期的に見直さないといけないですね。

6.信号強度

ワイヤレス信号の電波強度レベルのことを「信号強度」と言うのだけれど、信号強度が弱い場合も通信速度が遅くなるわ。速度を上げるには信号強度を増幅する必要があるけれど、その時に遅延が発生する可能性があるの。

電波の強さ・弱さも遅延に影響するのですね…。

7.ストレージ遅延

最後は「ストレージ遅延」ね。これはデバイスが読み取り、または書き込みリクエストを送信して応答するまでにかかる時間による遅延よ。パケットが保存されたり、パケット自身がアクセスされたりすると、ネットワーク機器であるスイッチやブリッジなど中間デバイスが読み込みを行うの。これがストレージ遅延を引き起こすのね。

スイッチやブリッジまで…。全部悪人に見えてきますね。

『アウトレイジ』みたいなこと言わないでよ!

低レイテンシーを実現するには

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なんだか低レイテンシーにするのは、とてつもなく難しいものに思えてきました…。

大丈夫よ。ちゃんと低レイテンシーを実現する方法があるわ。

ネットワーク最適化

まずはネットワークを最適化することが挙げられるわね。方法はいくつかあるけど、そのうちの一部を紹介するね。

ありがとうございます。いつも質問ばかりで恐縮です(笑)

帯域幅の増加

まずは「帯域幅」を増やすことね。帯域幅というのは、通信に使う電波や光の周波数の範囲よ。データの転送速度は帯域幅に直接影響を受けるの。だから、帯域幅の増加は、レイテンシーを効果的に減らせるわね。

帯域幅を広げるにはどうすれば良いのですか?

方法は様々あるけれど、現在のインターネット契約プランの見直しとかかなあ。

品質サービス(QoS)の設定

「QoS設定」するのも手ね。

な、なんですかそれは?

ネットワーク機器が行うデータの伝送を制御して、重要なデータの通信に遅延を発生させない技術ね。特定のデータパケットに優先順位を付けられるから、ネットワークが混雑している時でも、重要なトラフィックが優先的に処理されるようになるわ。

優先順位を立てられるようになれば、低レイテンシーにできそうですね。

ルーティングの最適化

ルーティングも1つの方法ね。ルーティングはパケットが目的地に到達するまでの経路よ。ルーティングを最適化することで、ネットワーク機器の数であるホップ数を減らして、遅延を防ぐことができるわ。

最短経路のほうが遅延しないですよね。

キャッシュの利用

キャッシュの利用も有効ね。

お金で解決するってことですか?

そのキャッシュじゃないわよ!

コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)

コンテンツデリバリーネットワークは、Webコンテンツを効率よくユーザーに配信するためのネットワークね。世界中の複数サーバーにコンテンツをキャッシュすることで、ユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを提供できるようになるの。

それなら近いサーバーから情報が得られるから、遅延も短くできそうですね。

アプリケーションキャッシュ

アプリケーションキャッシュというのは、アクセス頻度の高いデータや計算結果をメモリ内にキャッシュすることね。メモリに何度も同じリクエストをしなくてもよくなるから、レイテンシーを減らせるわ。

やはりキャッシュは大事ですね。

結構、拝金主義者ね…。

ハードウェアのアップグレード

ハードウェアのアップグレードをするだけでも、低レイテンシーにできるのよ。

低レイテンシーにするには、本当にいろいろな方法があるのですね。

ストレージのアップグレード

ハードウェアだと、ストレージのアップグレードをする方法があるわね。例えばSSDはHDDに比べて読み書き速度が格段に高く、データベース操作やファイルアクセスにかかる時間を短縮できるの。

SSDのほうが速いというのは、なんとなく聞いたことがあります。

サーバーとネットワーク機器のアップグレード

サーバーのアップグレードも1つの選択肢よ。サーバーのCPUやメモリ、ネットワーク機器の性能が向上すると、処理能力と一緒にデータ転送速度も速くなるわ。

アップグレードって忘れがちですよね。気を付けないと…。

分散アーキテクチャの採用

ちょっと難しいかもしれないけど、「分散アーキテクチャ」を採用するという方法もあるわ。

ちょっと難しいですね…。 詳しく教えてください!

分散アーキテクチャは、処理や配置などを分散することによって、パフォーマンスなどを向上させるための構造よ。以下のような方法があるの。

マイクロサービスアーキテクチャ

マイクロサービスアーキテクチャは、サービスを構成する各要素を「マイクロサービス」と呼ばれる独立した小さなサービスとして実装する方法よ。

よくわかりません!

正直でよろしい! 具体的にはアプリケーションを小さな独立したサービスに分割し、それぞれを個別に拡張することで、全体としての処理能力とレスポンス性を向上させる方法ね。システム全体の低レイテンシーを実現できるわ。

エッジコンピューティング

続いてエッジコンピューティングね。これはデータ処理をエッジ(端末)に近い場所で行うようにする方法よ。

エッジに近い場所でデータ処理を行うと、なぜ低レイテンシーになるんですか?

エッジコンピューティングになれば、中央集権型のデータセンターへの往復遅延が減るわ。だからレイテンシーを低くできるの。

低レイテンシーを実現して通信環境を整えよう

インターネット通信においては、その仕組み上、完全に遅延を無くせません。しかし、レイテンシーを低くできれば、その遅延の短縮は可能です。Wi-Fi機器を変えるだけでも、低レイテンシーを実現できます。

 

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