職場Wi-Fiの「つながらない」「遅い」を、解決する技術「Client Match™」とは?
公開日 : 2024/11/06 最終更新日 : 2024/11/15
ビジネス環境におけるネットワークの課題は、新たな局面を迎えています。大企業はもちろんのこと、中小規模の事業所や店舗でも通信品質の高さが求められているのです。Wi-Fiに接続できるのが当たり前になり、あらゆる規模のビジネスで安定したWi-Fi環境の構築が課題となっています。HPE Networking Instant Onのアクセスポイント(AP)製品に搭載された機能「Client Match™」(クライアントマッチ)は、課題解決を担う独自の技術です。今回は、Client Match™の仕組みや利点について、HPE Networking Instant Onの担当者である中村裕也さんと横山健人さんのお二人に詳しく話をうかがいました。
多くのユーザーが抱える「ネットワーク」の問題とは?
Q:今日はよろしくお願いします。まずは、自己紹介をお願いします。
中村さん:製品担当の中村です。エンタープライズ向けの大規模ネットワーク用製品から、HPE Networking Instant Onのようなスモールビジネス向けの製品まで、幅広く担当しています。例えば、新製品発表時には、販売につながる訴求ポイントを見極めたり、販売を終了した製品についてもどのようなコミュニケーションが必要かを考えたりと、さまざまなフェーズで製品のセールスに関する業務を行っています。
横山さん:プリセールスの横山です。HPEの製品を販売していただいているパートナー企業様とのやり取りを担当しています。具体的には、製品情報のアップデートや問い合わせ対応、テクニカルなお困りごとやトラブル時のサポートなどを行っています。最近では、HPE Networking Instant On製品に関しても担当プリセールスとして、お客様への紹介および問い合わせをお受けしています。
Q:HPE Networking Instant Onはスモールビジネス(中小企業・店舗)向けの製品ですが、ユーザーの困りごととしてどのような例が挙げられますか?
中村さん:ビジネスでWi-Fiを使う際の困りごとは多岐にわたりますが、私の体感で最も多いのは「つながりにくい」「途切れる」といった電波環境の安定性に関する問題ですね。オンライン会議システムやグループウェアの使用が増えていますので、突然Wi-Fiが切れて業務に支障が出てしまうといった声をよく耳にします。
特徴的なのが「スティッキークライアント」という問題です。「スティッキー」は「ネバネバとベタつく」という意味で、Wi-Fiに接続した端末が移動して、元々接続していたAPとの信号強度が弱くなったにも関わらず、適切なAPにローミング(APの切り替えのこと)しない現象です。適切なAPに接続できていないクライアントおよびそのクライアントが接続しているネットワークでは、その通信品質が著しく低下する可能性があります。
横山さん:スティッキークライアントや、一定のAPや周波数に接続が集中してWi-Fi接続速度が下がるといった問題を解決するのがClient Match™の役割です。これはAruba Networksが開発した特許技術で、クライアントに最適なAPの最適な周波数帯に接続を促す機能になります(スティッキークライアント・ロードバランス・バンドステアリング)。HPE Networking Instant Onのすべてのアクセスポイント製品にはClient Match™が搭載されています。
Client Match™機能とはどのような機能か
Q: Client Match™とはどのような機能でしょうか? どのように問題を解決してくれますか?
横山さん:Client Match™の動作プロセスを簡単に説明すると、まずAPが周辺のAP情報や端末の接続状況を収集します。具体的には、どのAPのどの周波数帯にどんな端末が何台接続しているかや、どのAPからの電波がどのくらいの強度かといった情報です。これをリアルタイムで集めています。
次に、収集した情報を基に、各端末にとって最適なAPと周波数帯を判断します。そして必要に応じて、端末の接続先を最適なAPの最適な周波数帯に移動させます。
特徴となる技術が、アクセスポイント側からクライアントの接続を一時的に解除し、最適なAPや周波数帯にのみ再接続できるよう制御する点です。Client Match™を搭載したアクセスポイント製品は、端末を取り巻く電波環境が変化しても常に最適な接続状態を維持できます。
中村さん:実際の使用シーンに当てはめて補足しますね。例えば、オフィス内を移動しながらビデオ会議をしても、Client Match™機能があれば接続が途切れにくくなります。また、カフェのような場所でお客の入れ替わりが激しい時やランチ時など急に接続数が多くなった時でも、安定した接続を提供できるようになります。
オフィスのほか、小規模のクリニックやカフェ、バーなどIT専門家がいない職場環境でも、Client Match™機能によって快適なWi-Fi環境を維持できているという声をたくさんいただいています。
「MIMO」とClient Match™の違いとは
Q:複数のアンテナで通信を行う技術「MIMO」との違いを教えてください。
横山さん:MIMOは「Multi Input Multi Output」の略で、複数の端末をAPが持つ複数のアンテナで同時に通信させて、通信量を増やす技術です。HPE Networking Instant Onのアクセスポイント製品はもちろん、他社の製品にも一般的に使われ、アクセスポイントの製品スペックには「2×2:2」などと表示されています。これは「送信アンテナが2本×受信アンテナが2本搭載。それを2ストリームでデータ送受信する」という意味です。通信速度を上げるという面ではClient Match™と共通しますが、仕組みはまったく異なります。
MIMOは「複数のアンテナで同時に通信」できる技術で、1車線道路を2車線道路にして交通量を増やすのと同じです。しかし、渋滞が発生しているのにその車線を通ろうとすると速度は遅くなります。あらかじめ空いている別の道路を調べておいて、渋滞が発生したら「こちらの道を通ったほうが速い」と、端末を自動的に最適なAPへつなぎ変えます。これがClient Match™によるロードバランスです。
また、アクセスポイントだけでなく最適なWi-Fiの周波数帯に接続させる機能もあります。2.4GHzの周波数と5GHzの周波数とでは、最大通信速度は5GHzのほうが上です。でも5GHzのAPばかりに端末が接続して、通信速度が遅くなっている時は2.4GHzのほうへ一部の端末の通信を切り替えてそれぞれの通信速度を高めます。これをバンドステアリングと呼びます。
「APのアクセス状況をモニタリング」「最適なAPをリアルタイムで選び接続先を切り替える」「負荷を分散させるロードバランス」「最適な周波数帯に接続させるバンドステアリング」という機能が、“動的”にクライアントに最適な電波環境を提供できるのがClient Match™なのです。これは特許技術のため、HPEの製品と他社製品の違いになります。
他社製品にはない、HPE Networking Instant Onのメリット
Q:詳しく解説いただきありがとうございます。ユーザーとなる顧客に、Client Match™はどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
中村さん:最適なところに常につながることが、Client Match™の強みです。これまでWi-Fiがつながらなかったり、つながりにくかったりした場所でも、HPE Networking Instant Onのアクセスポイント製品を導入していただくだけで、Wi-Fi環境が改善することが一番のメリットだと思います。改善を必要とする背景として、特に最近多いのが、オンラインミーティングが日常的になって通信量が増加したり、スマホやPCに限らずIoTデバイスが増えたりして、同時にWi-Fiを使用する端末が増加していることです。Client Match™によって通信量の増加にも、端末の増加にも対応して、常にWi-Fiを快適に使える体験を提供できる点が、他社製品との大きな違いだと感じています。
横山さん:HPE Aruba Networking製品全体には、「People move. Networks must follow.(人は動く。ネットワークはそれについていかなければならない)」というコンセプトが背景にあります。その信念に基づいて、有線LANしかなかった時代から、モバイル時代のネットワークのあり方を追求して技術を注力し続けてきた結果、生まれた技術がClient Match™です。
また、HPE Networking Instant OnのClient Match™に関しては、
簡単に設定できるというメリットもあります。Instant On製品の場合はClient Match™が標準でオンになっていて、パラメーター等も設定不要です。ユーザーが迷ったり悩んだりすることなく、製品を購入して電源を入れるだけでClient Match™が利用できて、Wi-Fi環境が改善できます。他社製品にはない、動的に電波状況を見て最適なAPを変えていけるメリットをすぐに感じていただけます。
「今、使っているWi-Fiがつながりにくい」と、少しでも感じることがあれば、Client Match™を搭載したHPE Networking Instant On製品をぜひ試していただきたいなと思っています。
まとめ:Client Match™で、本来のビジネスに集中できるWi-Fi環境を実現しよう!
中村さんと横山さんのお話から、スモールビジネスの現場で起こりがちな「Wi-Fiの悩み」の解決に、Client Match™が役立つ理由が分かりました。
Client Match™は、Wi-Fi環境における大きな課題であるスティッキークライアントの解消、つまり「つながりにくさ」と「不安定さ」を効果的に解消できます。
IT専門スタッフが不在の環境でも、複雑な設定や日常的な管理なしに高度なWi-Fi最適化が実現できる点は、あらゆるビジネスに大きなメリットをもたらします。Wi-Fiの環境にまつわる悩みから解放され、本来の業務に集中したいなら、HPE Networking Instant On を選択肢として検討するのはいかがでしょうか。
ソリューション
・Aruba Instant On シリーズ
課題
・顧客への機器納品前のキッティング作業に労力と時間がかかる
・マルチテナントのデバイスのクラウド上での統合管理ができない、または有償サブスクリプションが必
要なためコストが上昇する
・端末移動時のローミング時に接続が不安定になる
・シングルチャネル方式のローミングではパフォーマンスが低下する
▽
効果
・設定作業のほとんどが自動化されているため納品前のキッティングが不要になり、現場での設定も容易に
・クラウド上のWebポータルによるネットワーク運用管理が無償で利用可能になり、保守対応などが迅速に
・端末移動時のローミングは各ネットワークに存在する仮想コントローラにより自動調整されるため安定化
・端末の利用帯域が設定可能なためパフォーマンス低下が起きない
・低コストのAP(アクセスポイント)でも安定稼働が可能に
兵庫県宝塚市に本社を置く旭通信株式会社は、法人向けのネットワーク関連機器販売・工事・保守サービスを行う企業だ。同社が特に得意としているのが病院や工場、物流倉庫など広い敷地を有する企業・組織の通信環境構築と維持である。広い敷地面積に加え、いくつものフロア・作業場などを カバーし、多数の接続デバイスが混在する環境のなかで高品質な情報通信を可能にしている。加えて、セキュリティ面で 一般のオフィスネットワーク以上の厳密さを求める多数の企業・組織にも同社のソリューションが採用されてきた。 近年は老朽化した有線 LAN インフラを再構築したい顧客ニーズに応え、無線 LAN を活用した通信環境構築のため の最適ソリューションを提案、実装している。
有線LANの代替となるのは長期維持・管理に適した無線LAN
ネットワーク利用顧客のなかには、従来から利用してきた有線LAN設備の老朽化と維持・管理コストの高騰を大きな課題としているケースが多い。有線LANは一度敷設するとレイアウト変更が難しく、フロアレイアウトの変更や新規の作業場・病室の増改築などの際にはLAN回線のための大規模工事が必要になる場合がある。人や搬送機器などが往来する床面を避けたり、人の作業を邪魔しない場所を選んだりなど慎重なレイアウト設計が必要だ。また、あらゆる業務においてスマートフォンやタブレットの利用機会が急増しており、そもそも有線LANへの接続ポートをもたない端末も増加している。
「有線LANを引き続き利用するところは利用し、一部を無線LANに置き換えあるいは新設して、通信インフラを無線化し有線LANの維持・管理コストを削減していくことが、お客様の主要なニーズとなっています」と語るのは、旭通信株式会社の代表取締役・永野隼人氏。
旭通信株式会社
代表取締役 永野 隼人氏
無線LANをインフラとして導入し、有線LANから移行していくことで、フロアレイアウトが変更されても屋内配線やフロアスイッチ、ハブなどの機器レイアウトを大きく変更する必要がなくなり、タブレットなどのデバイスや多様な無線LAN対応機器を簡単に導入することが可能になる。特にLANを分岐するハブ設置の必要がなくなるため、AP(アクセスポイント)がその役割を代替することでネットワーク構成要素を削減でき、管理対象を少なくできる可能性が高い。また端末からAP間の通信に強力な認証技術と暗号化技術が利用できるため、LAN接続権限のない端末の不正な接続を最初から排除し、セキュリティの向上も期待できる。さらには将来のユーザー端末の増加・多様化・多端末の同時接続にも対応できることから、無線LANは端末数が多くなればなるほど有効な選択肢となっている。
ローミングトラブルや自律型無線 LAN AP の設定に工数を要することも課題だった
無線LAN導入は一般的な事務を行うオフィスではそれほど難易度が高くないが、同社が主な顧客とする病院や工場、物流倉庫においては作業環境が多様で複雑な場合が多い。例えば階を越えた通信、ラックやロッカーをはじめとする多くの電波遮蔽物、電波を通しにくい特殊な設備、さらに同じ周波数帯を使う医療機器や生産機器・計測機器などが混在する環境で、できるだけ広い敷地範囲を十分な通信品質でカバーする必要がある。これには豊富な経験とノウハウをベースとした無線LANAPの適切な配置が重要だ。 フロアレイアウトと各エリア電波状況を調査し、適切な数のAPを最適な場所に設置、フロアスイッチとAP間を結ぶ通信路を設計、維持・管理していく必要があるのだが、それを最も効率的に設計・施工し、適時のメンテナンスを実行できる状態にするのが同社の無線LAN領域の重要ミッションです。
「無線LAN導入において問題になりがちなのは、移動しながらの通信に際するローミングトラブルと、運用管理の難しさです」と永野氏は言う。
移動しながらの無線LAN利用では、特定のAPと接続している端末が滞在していた場所から移動すると、直前まで接続していたAPとの通信を維持しようとする現象が起きがちだ。すると距離に従い電波強度が弱くなるAPとの接続が続くためパフォーマンスが低下したり、通信が途切れて再接続が必要になったりする事態が起きる。これを防ぐための対策を無線LANベンダー各社が提供してはいるのだが、ベンダーによっては問題が生じることがあったという。
「病院では電子カルテを多用しているので、PCを載せたカートと共にスタッフが病室・病床間を絶えず移動します。そこで通信が不安定になると業務が滞ってしまうんです。これを防ぐためにシングルチャンネル方式でローミングをスムーズにする技術を用いた製品を検討したことがありますが、現実的には通信速度が低下してしまう結果になりました。これはシングルチャンネルで動作をしているAP同士が、お互いに干渉を避けようとしてAPの利用ができる帯域を制限し、ユーザーのスループットに影響するもので、これは顧客の用途にはそぐわない場合があると感じました」(永野氏)
また、運用管理に関してはネットワーク障害やパフォーマンス低下の実態を適時に把握可能にするモニター機能とその可視化機能が重要になるが、さまざまなベンダーのAPが混在する状態では全体への目配りや障害箇所の切り分けが難しくなってしまう。同社の場合は顧客のネットワーク環境を常時監視して障害があれば即座に対応できる体制を確保しているのだが、管理ツールが顧客内のみで運用されている環境では迅速な障害発見・切り分け、一時対応が難しい場合もある。
「いわゆる自律型APは、納品前にAP個々の電波出力強度のチューニングやチャンネル設計に基づいた適切な割り振りが必要になり、その工数が問題です。また、現場の電波状況や通信品質をモニターして最適にチューニングしていくにもAP個別の設定変更が必要になり、現場の通信環境変化に迅速に追随していくことが難しくなります」(永野氏)
クラウドによるネットワーク統合管理が可能なAruba Instant On シリーズを検証
さまざまな無線 LAN を含むネットワーク構築の経験をもとにして、各ベンダー製品の比較検証を行った結果、現在同社は Aruba Instant On シリーズの顧客導入を積極的に進めている。その理由を永野氏は次のように語った。
「Aruba Instant On シリーズを評価した最大のポイントは、多数の無線LAN APの電波強度や最適チャンネルの設定、ローミングの調整などが自動化できる統合的な運用管理機能が、クラウド上の Web ポータルで利用できるところです。使いやすいインターフェースの管理画面で AP の稼働状況把握や可視化、設定変更や障害発見なども可能になります。多くのお客様のネットワーク管理サービスを行っている弊社にとっては、マルチテナントの無線ネットワーク環境をクラウド上で管理できる仕組みは大変好都合です。他社製品にもクラウドによる管理が可能なサービスがありますが、有償のサブスクリプションになっているため、お客様に提案しにくい事情があります。しかし Aruba Instant On シリーズの場合は、クラウドによるマルチテナントの運用管理が無償で可能です。これはお客様にとっても大きなメリットだと思います。弊社でお客様ネットワークの障害を早期発見でき、お客様への通達や迅速な復旧対応が可能になっています」(永野氏)
また、Aruba Instant On シリーズでは、各ネットワークに存在する仮想コントローラによりAP 間のローミングは適切に切り替えられ、各端末の帯域使用量の設定も可能なため、パフォーマンスが低下することが少ない。
さらに Aruba 製品の特長の 1 つである Smart Mesh(スマート・メッシュ) Wi-Fi によって、AP 同士がお互いに状態を通信し合って役割を分担し、広いエリアで最適なパフォーマンスでの端末間通信をリレー可能となっている。
ケーブルの敷設を最小限にして多数の AP が稼働するネットワークが簡単に構築できるため、一時的にカバーエリアを拡張したいといったニーズにも迅速な対応が可能だ。
こうしたArubaの特長を活用することで、低価格なAP機種であっても安定稼働が可能で、VLAN設定などもほぼ自動化可能で設定の手間がかからないサービスが提供できている。
Aruba Instant On シリーズ管理画面のイメージ
納品前キッティング業務が不要になり現地での設定作業も省力化
こうして顧客ネットワークへの導入が開始された Aruba Instant On シリーズについて永野氏が特に評価しているのは、ネットワークトラブルの発生前にもデバイスの稼働状況からエラーなどの発見が可能になり、深刻なトラブルに発展する前に対応・対策が可能になった点だ。ネットワーク再構築を依頼された医療機関の顧客からは「院内のスイッチ、AP の管理がクラウド上で可能になる画面を見たのは衝撃でした。各ポートの状況までリアルタイムに把握でき、クライアントの接続状況まで確認でき、欲しい機能が備わっていた」と驚嘆の声も寄せられたという。同時に、同社の業務も変化した。効果を感じている点の1 つが、納品前の AP セットアップなどのキッティング作業が不要になり、現場で設定作業が行えるようになったこと。従来よりも容易になったことに加え、時間短縮とスタッフの労力軽減に役立っている。
現在は PC などのユーザーデバイスのほか、ネットワークカメラを同時導入するケースも多いそう。Wi-Fi 6 対応のカメラと AP によって高画質のカメラ画像が常時収集可能になっていることもその背景にあるが、AP の追加や多数の運用管理が容易になったこともこうした動きを促進しているようだ。ただしもともとのネットワーク運用方法によってはネットワーク構築に多少の困難が伴う場合もある。例えば固定IP 端末の利用が専らで、IP アドレスを割り当てる DHCP サーバーが用意されていない場合や、インターネット経由の通信が遠方の本社のプロキシサーバーに集約している場合などだ。このようなときには、同社のネットワークインフラ専門技術・ノウハウを活用しながら、対応を行っている。
Aruba 製品による課題解決について語る永野氏
将来はさらなる拡張機能により新しい収益モデルの実現も視野に
「導入・構築・設定にかかるコストや手間を大きく削減でき、クラウド上で多くのお客様ネットワークの運用管理ができるのが、Aruba Instant On シリーズの長所です。弊社のサポート業務やメンテナンス業務が適切・迅速に提供できるので、お客様もエンドユーザーの方々もメリットを感じておられることと思います」と永野氏。今後は病院への来客や入院患者などの Wi-Fi 利用も視野に入れ、課金可能なシステム構築も考えているという。
「将来的にはさらに多数のデバイスの接続が可能な無線ネットワークの構築や、デバイスのログ管理、認証の強化、決済サービスとの連携などの開発・強化をしていきたいと考えています。それにより無線接続を収益に結びつけるビジネスモデルが実現できるのではないかと思います」(永野氏)
有線ネットワークの更改を起点にした無線 LAN によるインフラ再構築が容易になったことで、IT デバイスの活用領域拡大、エンドユーザーの満足度向上、さらには新しいビジネスモデル構築も視野に入れることにもつながっている。クラウドベースで運用管理を低コストで可能にする Aruba Instant On シリーズは同社の業務改革にも役立っているようだ。
ユーザー概要
旭通信株式会社
法人向けネットワーク関連機器販売・工事・保守サービスを提供。病院や工場、物流倉庫など
広い敷地を有する企業・組織の通信環境構築と維持を行う。
https://www.asahi-tusin.co.jp/
所在地:兵庫県宝塚市高司 2-17-38