ビジネス・日常を問わずインターネットの利用が前提となっている現代社会では、一度でも通信障害が起こると、大きな損失となる可能性があります。そのため、ネットワークを監視している企業は多く、ネットワークにおける監視には死活監視やログ監視など様々な形態があるなかで、トラフィック監視はその一つです。今回はトラフィック監視について解説します。
ユウキ
アヤカさん、先日の会議で「トラフィック監視」という言葉を聞いたのですが、これはどういう意味なのでしょうか?
アヤカ
トラフィック監視はね、ネットワーク上で流れるデータ量を監視するプロセスのことよ。ちなみに、ネットワークにおける「トラフィック」はネットワーク回線で一定時間内に送受信される通信データの量のことね。一般的に「bps(bits per second)」という単位で計測されるわ。
ユウキ
なるほど、ではトラフィック監視をする目的は何ですか?もしかして従業員が働いてるかどうか監視するためですか…?
アヤカ
トラフィック監視の目的は、データの量、その平均値、ピーク値などを監視して、ネットワークトラブルの前兆を検知することにあるの。たとえば、ネットワークの帯域幅を超えるトラフィックが流れると、輻輳しちゃって通信が制限されるから、それを防ぐために監視するのよ。大事な契約書を送る締切の間近なのに、制限されてたら困るでしょ?
ユウキ
確かに、とても困りますね…。以前教えてもらった輻輳も関係しているんですね!
ユウキ
なるほど、わかるような、わからないような…。もう少し具体的に教えていただけますか?
アヤカ
まず、さっきも言った通り、トラフィック監視はネットワークのパフォーマンス最適化に役立つの。システムのパフォーマンスを解析して、遅延や帯域幅の問題を特定することで、修正ができるのよ。
アヤカ
セキュリティの向上も大きなメリットよ。トラフィック監視を通じて、不審な活動やセキュリティ侵害の兆候を発見し、迅速に対応することができるの。たとえば、異常なトラフィック増加は、DDoS攻撃などのセキュリティ脅威のサインかもしれないわ。
ユウキ
DDoS攻撃…。良く聞きます!
アヤカ
それに加えて、長期的なトラフィックの傾向を分析することで、将来のリソース需要を予測して、システムのアップグレードや拡張計画を立てることもできるのよ。社内インフラとは少し関係のない話かもしれないけど、ビジネスの成長や変化に柔軟に対応することが可能になるわ。
ユウキ
なるほど、トラフィック監視には色々な役割があるんですね。監視することで、ネットワークの安定性や効率性を高めることができるのか。
アヤカ
その通りよ。ネットワークがスムーズに機能するためには、トラフィック監視がとても重要なの。特に大規模なネットワークやビジネスでの利用では、トラフィック監視が欠かせないわ。
ユウキ
トラフィック監視の必要性は理解したのですが、具体的にはどんな方法があるのでしょうか?
アヤカ
トラフィック監視にはいくつかの方法があるわ。
アヤカ
まずは「SNMP(Simple Network Management Protocol)」ね。SNMPはネットワーク上のデバイスを監視・管理するためのプロトコルよ。念のためだけど、「プロトコル」はネットワークを通じてコンピュータ同士がやり取りするための約束事のことね。ネットワーク内のルーターやスイッチ、サーバー、プリンターみたいなデバイスから情報を収集して、ネットワークの健全性やパフォーマンスを追跡するために使用するの。
ユウキ
SNMPはどうやって機能するのですか?
アヤカ
SNMPは名前の通り、シンプルで効果的な管理を可能にする設計になってるの。SNMP環境には管理される側の「エージェント」と、管理する側の「マネージャー」の2つのコンポーネント(構成要素)があるわ。エージェントはMBI(Management Information Base)と呼ばれる、一種のデータベースを持っているの。ここに管理するべき情報が蓄積されているわ。エージェントは管理されるデバイスにインストールされ、マネージャーはこれらのエージェントから情報を収集し、設定変更を行うのよ。SNMPにはセキュリティや機能面での違いがあって、v1、v2c、v3など複数のバージョンが一般的ね。
アヤカ
次に「WMI(Windows Management Instrumentation)」があるわ。これはMicrosoftが開発した、Windows OSやその上で動作するアプリケーションを管理する技術よ。Windowsベースのシステムやネットワークの運用管理に効果的で、Windows2000以降のバージョンで標準対応しているわ。汎用的な監視技術のSNMPと比べても、より多くの監視項目を収集できることが特徴ね。Windows OSで動作するサーバーなどの管理を簡単に実現できる仕組みとして設計されているわ。
ユウキ
Windowsシステムに特化しているのか。Microsoftは何でも用意しているんですね!
アヤカ
「パケットスニファ」という方法もあるわ。ネットワークを流れるデータパケットをキャプチャして分析するツールね。
ユウキ
なぜキャプチャする必要があるのでしょうか?
アヤカ
データはネットワーク上で「ノード」と呼ばれる、ネットワーク機器とネットワークのつなぎ目を経由するわ。ノードを経由して送信されるデータは、通常は途中のノードでは何も行われなくて、通過点として通り過ぎるの。だからパケットスニファによって、ネットワークを流れるデータパケットをキャプチャするのよ。送信元と宛先のIPアドレス、ポート番号、伝送されるデータの内容が含まれるわ。ネットワークのパフォーマンス、トラフィックのパターン、問題の特定などの分析に役立つよ。郵便局の郵便物配達員が、郵便ポストに投函された郵便物をすべて確認するようなものね。郵便物には、誰から誰に宛てられたものなのか、どのような内容が書かれているのか、といった情報が記載されているでしょ。
ユウキ
なるほど、そういう理由だったんですね。
アヤカ
不正アクセスやネットワーク攻撃を検出するために使用されることもあるわ。たとえば、不審なトラフィックのパターンや予期しないデータの流れを検出ね。後は特定のプロトコルが正しく機能しているかを確認したり、ネットワークの効率性を評価するために使用されるわ。
ユウキ
良いことばかりじゃないですか!
アヤカ
パケットスニファは非常に強力なツールだけど、プライバシーやセキュリティに関する問題が伴うこともあるの。だからネットワーク管理者やセキュリティ専門家によって、適切な許可と倫理的ガイドラインの下で使用したほうが良いわね。
ユウキ
完璧なものはないものですね。3つも出てきましたが、まだあるのですか?
アヤカ
最後に教えるのが、「フロー監視」ね。データの情報をフロー(流れ)として取得する技術よ。この技術は、特にCisco社が開発した「NetFlow」や、InMon社の「sFlow」があるわ。
ユウキ
他の方法と何が違うのでしょうか…?
アヤカ
ネットワーク機器自体の状態を監視するSNMPに対して、フロー監視はネットワークを流れるデータの詳細な分析に焦点を当てるの。だから、フロー監視はネットワークのトラフィックパターンや、パフォーマンスの問題を特定するのに有効ね。あと、パケットスニファは「郵便物の詳細な検査」に、フロー監視は「郵便物の流れの全体的な監視」にそれぞれ対応してるわね。フロー監視は、郵便物の全体の流れや傾向を把握することと捉えると良いかもね。郵便局員が各手紙や小包の詳細を深く調べるのではなくて、どの地域からどの地域へどれくらいの郵便物が流れているか、特定の時間帯に郵便物の量が増えるかなど、全体的な流れやパターンに注目するわ。フロー監視では、個々のデータの内容よりも、ネットワーク全体のデータフローの傾向や異常を監視し、トラフィックの流れを分析するのよ。それぞれ補完的な関係だから、併用して使用されるケースも多いわね。
ユウキ
なるほど、柔軟に組み合わせることが重要なのですね。ありがとうございました!
安定した通信環境を維持するためには、トラフィック監視を含めた様々な対策が必要です。場合によっては、ルーターやスイッチなど、通信機器の変更を検討しても良いでしょう。
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