ベストエフォート型とは?ネットワーク回線の基礎知識

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通信回線の変更を検討する際、様々な通信速度のプランがあるため頭を悩ましていないでしょうか?1G、5Gなどプロバイダによって異なりますが、よくよく見ると「最大」「理論値」という言葉がついています。なぜそのような表記をしているのでしょうか。それはその回線が「ベストエフォート型」だからです。 

 

本記事ではベストエフォート型の回線の基礎知識について、ギャランティ型との違いやより有効に使うための対策とともに解説します。

 

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ベストエフォート型とは

アヤカさん、最近通信回線の変更を検討しているんですが、プランによって通信速度が異なるので迷っています。特に「最大」「理論値」という言葉がよく見られるんですが、これはどういう意味なのでしょうか?

それは「ベストエフォート型」という回線の特性を示しているわ。ベストエフォート型は「最善の努力」という意味で、通信速度の保証がないサービスを指すの。一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)はこういった記載をしてるわ。

本来高価な専用線を多数の人の共用を前提として提供することで、保証はしないものの実用的な速度とのバランスを考慮しながら安価な価格で提供するのがベストエフォート回線のサービスです。

▶︎インターネットの現状と品質の測定につきまして

通信速度の保証がないってどういうことですか? 

例えば、インターネット回線の広告で「1ギガ(Gbps)」や「10ギガ(Gbps)」という表示があるでしょう。これは技術規格上の最大速度を示していて、実際の通信速度は多くの要因によって変動することがあるのよ。

なるほど、それってどんな要因があるんですか?

主な要因は以下の通りよ。

要因 説明
リソースの限界 ルーターやスイッチなどのネットワーク機器は、一定のリソース(メモリ、帯域幅など)を持っています。これらのリソースが飽和すると、新しいデータパケットを処理できず、破棄することがあります。 
エラーの発生 ネットワーク上での物理的な障害や機器の故障・外部からの攻撃などの要因によりエラーが発生する場合があり、データの伝送が中断されることがあります。
再送の制限 データパケットが失われた場合、再送を行うことで伝送を試みることが可能です。しかしベストエフォート型の通信では、再送の回数や時間に制限があるため、ある程度以上の再送を行わないことが一般的です。
プロトコルの特性 ベストエフォート型の通信でよく使用されるTCP/IPプロトコルは、データの伝送を保証する機能を持っていますが、それでも一定の条件下ではデータの伝送を保証できない場合があります。

 

なるほど~。それに対して通信速度が保証されるようなサービスはあるんですか? 

それがギャランティ型よ。ギャランティ型は通信速度や通信品質に一定の保証を持つサービスなの。契約した通信速度や品質を保証するから、安定した通信が期待できるわ。ただベストエフォート型に比べて料金が高いの。専用回線の設置や運用が必要だから、初期費用やランニングコストがかかるのよ。

ベストエフォート型の採用が多い理由

それならなぜ多くの通信サービスはベストエフォート型が提供されているんですか? 

それは利用料金の低さが大きな理由よ。ギャランティ型は専用回線の設置や運用が必要だからコストが高くなるの。一方、ベストエフォート型は多くの人が共用することを前提としているから安価に提供できるの。小規模な企業やスタートアップでは、ベストエフォート型の利用が一般的よ。高い通信品質や帯域幅が必要とされない場合、ベストエフォート型の回線で十分。でも、金融機関や医療機関のように高い通信の安全性や信頼性が求められる業種では、ギャランティ型などの専用回線や高品質な通信サービスが選択されることが多いわ。

ベストエフォート型回線を快適に利用するためには?

アヤカさん、ベストエフォート型の通信速度をより快適にする方法はないですか?

IPoE方式の採用

 

 

まず、IPoE方式の採用を考えることができるわ。IPoE方式はイーサネット(LANケーブルなど)上でIPパケットを転送する技術よ。従来のPPPoE方式方式だと、通信量が増加すると終端装置が混雑して通信速度が遅くなる可能性があったの。IPoE方式だと終端装置を使用せずに直接インターネットへ接続するから混雑が起こりにくくなるわ。IPv6の普及に伴って、多くのプロバイダがこの方式を採用しているのよ。 

IPv6って何ですか?

IPv6は、インターネットの通信を制御するための新しいプロトコルよ。IPv4と比べて、セキュリティ機能が高度で、通信の効率も向上しているの。

周辺機器の見直し

 

なるほど。他にもありますか?

通信速度に影響を与える要因として、使用しているネットワーク機器の性能も考慮する必要があるわ。たとえば古いルーターやスイッチを使用していると、データの処理速度が遅くなることがあるの。特に無線LANルーターは、規格によって最大通信速度が異なるから、それに合わせて選ぶことが大切よ。 

無線LAN規格 最大通信速度 周波数帯
IEEE 802.11ax (Wi-Fi6) 9.6Gbps
2.4GHz/5GHz
IEEE 802.11ac (Wi-Fi5) 6.9Gbps 5GHz
IEEE 802.11n (Wi-Fi4) 600Mbps  2.4GHz/5GHz
IEEE 802.11g 54Mbps 2.4GHz
IEEE 802.11b 11Mbps 2.4GHz
IEEE 802.11a 54Mbps 5GHz

通信速度が最大1Gbpsの回線を使っても無線LANの規格がWi-Fi4だと、600Mbps以上の速度は出ないってことですよね? 

その通りよ。1Gbpsの回線をフルに活用するためには、Wi-Fi5やWi-Fi6みたいな新しい規格のルーターが必要になるわ。

なるほど~。それとLANケーブルも気をつけたほうが良いんですか…?

LANケーブルは「カテゴリ」という規格で分類されていて、それぞれのカテゴリによって最大通信速度が異なるのよ。

ケーブルのカテゴリ 最大通信速度
CAT8 40Gbps
CAT7A 10Gbps
CAT7 10Gbps
CAT6A 10Gbps
CAT6 1Gbps
CAT5e 1Gbps
CAT5 100Mbps

 

こんなにも違うんですね!じゃあ、快適な通信速度を求めるなら、どのカテゴリのケーブルを使ったらいいですか?

小規模なオフィスでの利用を考えるなら、CAT5e以上のケーブルを選ぶと良いわ。

まずは通信速度を計測してみる

多くの通信回線はベストエフォート型のため、いかに快適に利用するかが重要です。まずは実際に通信速度を計測してみましょう。あきらかに速度が遅い場合、対策を取る必要があります。無線LANルーターやスイッチの性能が古い場合は変更を検討しましょう。 

 

通信環境についてお悩みの場合は、ぜひお問い合わせください。御社のお悩みを解消いたします。

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通信回線の変更を検討する際、様々な通信速度のプランがあるため頭を悩ましていないでしょうか?1G、5Gなどプロバイダによって異なりますが、よくよく見ると「最大」「理論値」という言葉がついています。なぜそのような表記をしているのでしょうか。それはその回線が「ベストエフォート型」だからです。 

本記事ではベストエフォート型の回線の基礎知識について、ギャランティ型との違いやより有効に使うための対策とともに解説します。 

 

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ベストエフォート型とは 

ユウキ
アヤカさん、最近通信回線の変更を検討しているんですが、プランによって通信速度が異なるので迷っています。特に「最大」「理論値」という言葉がよく見られるんですが、これはどういう意味なのでしょうか?

アヤカ
それは「ベストエフォート型」という回線の特性を示しているわ。ベストエフォート型は「最善の努力」という意味で、通信速度の保証がないサービスを指すの。一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)はこういった記載をしてるわ。

本来高価な専用線を多数の人の共用を前提として提供することで、保証はしないものの実用的な速度とのバランスを考慮しながら安価な価格で提供するのがベストエフォート回線のサービスです。

インターネットの現状と品質の測定につきまして

ユウキ
通信速度の保証がないってどういうことですか? 

アヤカ
例えば、インターネット回線の広告で「1ギガ(Gbps)」や「10ギガ(Gbps)」という表示があるでしょう。これは技術規格上の最大速度を示していて、実際の通信速度は多くの要因によって変動することがあるのよ。

ユウキ
なるほど、それってどんな要因があるんですか? 

アヤカ
主な要因は以下の通りよ。

要因 

説明 

リソースの限界 

ルーターやスイッチなどのネットワーク機器は、一定のリソース(メモリ、帯域幅など)を持っています。これらのリソースが飽和すると、新しいデータパケットを処理できず、破棄することがあります。 

エラーの発生 

ネットワーク上での物理的な障害や機器の故障・外部からの攻撃などの要因によりエラーが発生する場合があり、データの伝送が中断されることがあります。 

再送の制限 

データパケットが失われた場合、再送を行うことで伝送を試みることが可能です。しかしベストエフォート型の通信では、再送の回数や時間に制限があるため、ある程度以上の再送を行わないことが一般的です。 

プロトコルの特性 

ベストエフォート型の通信でよく使用されるTCP/IPプロトコルは、データの伝送を保証する機能を持っていますが、それでも一定の条件下ではデータの伝送を保証できない場合があります。 

ユウキ
なるほど~。それに対して通信速度が保証されるようなサービスはあるんですか? 

アヤカ
それがギャランティ型よ。ギャランティ型は通信速度や通信品質に一定の保証を持つサービスなの。契約した通信速度や品質を保証するから、安定した通信が期待できるわ。ただベストエフォート型に比べて料金が高いの。専用回線の設置や運用が必要だから、初期費用やランニングコストがかかるのよ。

ギャランティ型インターネット回線の選び方とその必要性

 

ベストエフォート型の採用が多い理由 

 ユウキ
それならなぜ多くの通信サービスはベストエフォート型が提供されているんですか? 

アヤカ
それは利用料金の低さが大きな理由よ。ギャランティ型は専用回線の設置や運用が必要だからコストが高くなるの。一方、ベストエフォート型は多くの人が共用することを前提としているから安価に提供できるの。小規模な企業やスタートアップでは、ベストエフォート型の利用が一般的よ。高い通信品質や帯域幅が必要とされない場合、ベストエフォート型の回線で十分。でも、金融機関や医療機関のように高い通信の安全性や信頼性が求められる業種では、ギャランティ型などの専用回線や高品質な通信サービスが選択されることが多いわ。

 

ベストエフォート型回線を快適に利用するためには? 

ユウキ
アヤカさん、ベストエフォート型の通信速度をより快適にする方法はないですか?

IPoE方式の採用

アヤカ
まず、IPoE方式の採用を考えることができるわ。IPoE方式はイーサネット(LANケーブルなど)上でIPパケットを転送する技術よ。従来のPPPoE方式方式だと、通信量が増加すると終端装置が混雑して通信速度が遅くなる可能性があったの。IPoE方式だと終端装置を使用せずに直接インターネットへ接続するから混雑が起こりにくくなるわ。IPv6の普及に伴って、多くのプロバイダがこの方式を採用しているのよ。 

ユウキ
IPv6って何ですか?

アヤカ
IPv6は、インターネットの通信を制御するための新しいプロトコルよ。IPv4と比べて、セキュリティ機能が高度で、通信の効率も向上しているの。 

周辺機器の見直し

ユウキ
なるほど。他にもありますか?

アヤカ
通信速度に影響を与える要因として、使用しているネットワーク機器の性能も考慮する必要があるわ。たとえば古いルーターやスイッチを使用していると、データの処理速度が遅くなることがあるの。特に無線LANルーターは、規格によって最大通信速度が異なるから、それに合わせて選ぶことが大切よ。 

無線LAN規格 

最大通信速度 

周波数帯 

IEEE 802.11ax (Wi-Fi6) 

9.6Gbps 

2.4GHz/5GHz 

IEEE 802.11ac (Wi-Fi5) 

6.9Gbps 

5GHz 

IEEE 802.11n (Wi-Fi4) 

600Mbps 

2.4GHz/5GHz 

IEEE 802.11g 

54Mbps 

2.4GHz 

IEEE 802.11b 

11Mbps 

2.4GHz 

IEEE 802.11a 

54Mbps 

5GHz 

ユウキ
通信速度が最大1Gbpsの回線を使っても無線LANの規格がWi-Fi4だと、600Mbps以上の速度は出ないってことですよね? 

アヤカ
その通りよ。1Gbpsの回線をフルに活用するためには、Wi-Fi5やWi-Fi6みたいな新しい規格のルーターが必要になるわ。

ユウキ
なるほど~。それとLANケーブルも気をつけたほうが良いんですか…?

アヤカ
LANケーブルは「カテゴリ」という規格で分類されていて、それぞれのカテゴリによって最大通信速度が異なるのよ。

ケーブルのカテゴリ 

最大通信速度 

CAT8 

40Gbps 

CAT7A 

10Gbps 

CAT7 

10Gbps 

CAT6A 

10Gbps 

CAT6 

1Gbps 

CAT5e 

1Gbps 

CAT5 

100Mbps 

ユウキ
こんなにも違うんですね!じゃあ、快適な通信速度を求めるなら、どのカテゴリのケーブルを使ったらいいですか?

アヤカ
小規模なオフィスでの利用を考えるなら、CAT5e以上のケーブルを選ぶと良いわ。 

 

まずは通信速度を計測してみる 

多くの通信回線はベストエフォート型のため、いかに快適に利用するかが重要です。まずは実際に通信速度を計測してみましょう。あきらかに速度が遅い場合、対策を取る必要があります。無線LANルーターやスイッチの性能が古い場合は変更を検討しましょう。 

通信環境についてお悩みの場合は、ぜひお問い合わせください。御社のお悩みを解消いたします。 

 

 

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